口腔ケアの基礎知識
口腔ケアとは
口腔ケアとは、口腔(口の中)の疾病予防のための清掃や健康の保持・増進、リハビリテーション等によって、その対象者のQOL(Quality Of Life=生活の質)の向上を目指した看護や介護をいいます。
口腔内には、常に300種類以上の細菌が数千億個も存在しており、食べカスなどがあると、すぐに有害な細菌やカビ・ウイルスなどの微生物が繁殖します。また、口腔内が汚れていると、むし歯や歯周病といった口腔における障害が少実だけではなく、誤嚥性肺炎のような全身への障害も生じます。
このような問題を引き起こさないためにも、口腔ケアは非常に重要です。また、口腔ケアを行うことによって、口腔衛生に対する意識を向上させ、口腔疾患と感染症の予防や口腔機 能の維持・回復を図ります。

誤嚥性肺炎の原因菌の多くは歯周病菌です。歯垢や歯石、舌苔などを取り除き、口腔内を常に清潔な状態に保っておくことが予防の第一歩です。また、食事摂取が全面介助になると、口に入れる食べ物の量や速さの介護者と対象者の意思の不一致や食事中の姿勢・雰囲気なども誤嚥を引き起こす原因にもなります。
以上のように、誤嚥性肺炎の予防には口腔清掃の重要度が高く、食べさせ方や食事姿勢も検討する必要があります。
誤嚥性肺炎とは・・・
誤嚥性肺炎とは、口に入ったものが細菌とともに気管に入り込んだときに、むせたり咳き込んだりすることができないために排出できず、徐々に肺炎を起こしていく細菌性肺炎であり、体力の弱っている高齢者に多く見られる病気です。
肺炎は日本人の3大死因である癌・脳血管障害・心臓疾患に次いで高く、肺炎による死亡者の9割以上が65歳以上であり、高齢者の肺炎の最大発症原因は誤嚥となっています。
口腔ケアの目的
口腔疾患の予防
むし歯と歯周病が口腔の2大疾患です。この他にも口内炎、口腔癌、口腔カンジダ症、口腔乾燥や口臭、舌苔の異常な付着などが挙げられます。これらの疾患に対しては、口腔内を清潔にし、有害な細菌やカビ・ウイルスなどの微生物の量を減らすことが重要です。
![]() 歯間、歯と歯ぐきの間に付着した歯垢 | ![]() 口腔乾燥に伴うカンジダ症 |
誤嚥性肺炎
口腔内は常に湿気があり、温度も36~37℃に保たれています。また、唾液(栄養)によって潤されているので、非常に細菌が繁殖しやすい環境です。このような環境下で口腔ケア不足により食べカスなどが残ると、細菌が更に繁殖し、この細菌が誤って気道に入る(誤嚥する)ことで肺炎を引き起こす可能性があります。
QOLの向上
口腔ケアを行い、食べ物を口からおいしく食べられるようになることで食欲がわき、さまざまな器官機能の維持と向上が期待できます。また、意思 表示を含めたコミュニケーションを取ることを好むようになったり、笑顔が見られるなどの 表情が豊かになったりなど、対象者の自立とQOL向上を図ります。
要介護高齢者の口腔内の特徴
口腔乾燥
加齢、服用薬剤や生活習慣により唾液分泌量が低下し、口腔乾燥が起きています。唾液には、消化・咀嚼の補助・味覚・中和・洗浄・殺菌などの多くの作用があります。
高い入れ歯装着率
75~79歳の機能現存歯は9本、身体障害老人は5.6本、痴呆性老人は3.5本(平成11年度歯科疾患実態調査報告)となっており、ほとんどの方が入れ歯を装着しています。
嚥下・咀嚼障害
多くの方が咀嚼(噛む)から嚥下(飲み込む)という一連の動作機能に何らかの障害があり、誤嚥を起こしやすい状態になっています。

誤嚥性肺炎とは・・・

